脂漏性皮膚炎

脂漏性皮膚炎とは

脂漏性皮膚炎は、頭皮に限らず鼻や頬、耳の後ろなどの皮脂の分泌が活発な部分にカサカサした皮むけと赤みを主体とした湿疹ができる疾患です。人によっては胸部や腋、背部中央にできることもあり、かゆみを生じない場合もあります。頭皮からフケがポロポロ落ちたり、鼻や頬に赤い発疹とカサカサが出るといった症状が出ます。
女性より男性に多く、乳児から思春期以降の40歳くらいに発症のピークがあります。原因は明確に解明されていませんが、入浴不足や洗顔不足、皮脂の多い場所を好むマラセチア菌の増加、寝不足などの生活リズムの乱れ、偏食、過度のストレスによるホルモンのバランスの乱れが影響しているとされています。皮脂の量が多くなると、マラセチア菌も増殖します。皮脂の分泌は、ストレスなどを受けると交感神経が過敏になり増加します。ストレス・過労・睡眠不足を解消し、規則正しい生活を送ることが大切です。
治療法としては、塗り薬など外用薬を中心とし、弱いステロイド外用薬から使用を始めていきます。かゆみが強い場合にはより強いステロイド外用薬を使用します。外用薬だけでは治らない強いかゆみに対しては、抗ヒスタミン剤(抗アレルギー薬)など内服薬を使用していきます。
入浴もシャワーだけで済ませず、湯船にゆっくり浸かって疲れやストレスと一緒に皮脂の汚れも同時に落とすことが大切です。大人の脂漏性皮膚炎は繰り返しやすい病気ですが、上記に挙げた生活習慣を見直すことで改善を期待できる病気です。

脂漏性皮膚炎の原因

脂漏性皮膚炎の原因として、入浴・洗顔不足や、皮脂の多い場所を好むマラセチア菌というカビの増加、寝不足などの生活リズムの乱れ、刺激物や高脂肪食・肉食中心でビタミンB群の不足による食事の偏り、過度のストレスによるホルモンバランスの乱れが考えられています。マラセチア菌は真菌の一種で、通常はバクテリアなどから皮膚を守る役割をしていますが、様々な原因によってマラセチア菌が異常増殖すると皮膚に炎症が起こり、脂漏性皮膚炎を発症します。

脂漏性皮膚炎の診断

クリニック問診や診察、真菌感染を除外する目的の顕微鏡検査等を行い、他の皮膚炎ではないことを調べながら診断します。

脂漏性皮膚炎の治療法

脂漏性皮膚炎の治療法では、顔など皮膚の薄い部分には軟膏、頭皮には液体のローションを使用します。他にも菌の増殖を抑える抗真菌薬や、かゆみがある時には抗ヒスタミン剤やビタミン剤を飲みます。

抗真菌外用薬(塗り薬)

脂漏性皮膚炎はマラセチア菌というカビが関与していることが多いため、抗真菌薬の外用薬を使用して治療することが多いです。効き目はマイルドですが、副作用も少ないとされています。1~2週間で症状の改善が見られます。

ステロイド外用薬(塗り薬)

脂漏性皮膚炎では素早く炎症を抑えるためにステロイド外用薬を使用します。脂漏性皮膚炎は顔や頭に症状が出ることが多いので、顔の場合はステロイドの弱いランクから中程度のランクで十分に効果を発揮します。頭の場合はそれよりも強いランクのものでローションタイプのものを使用します。

かゆみ止めの内服やビタミン剤(飲み薬)

かゆみがある場合、内服薬としてかゆみを抑える効果のある抗ヒスタミン剤や抗アレルギー剤が処方されます。また、肌の状態を整える作用があるビタミンB2やB6を内服を服用します。ただし、治療の主体は外用剤になりますので、補助的な役割となります。

脂漏性皮膚炎の予防

脂漏性皮膚炎は、生活習慣の改善でかなり予防できる疾患です。塗り薬や飲み薬で症状が改善しても、マラセチア菌が繁殖しやすい皮膚環境を作らないことが大切です。

適切な洗顔と洗髪

洗顔は皮脂が多い方用の洗顔料を使い、毎日しっかり泡立てて行います。洗顔後は保湿を心がけましょう。洗髪は毎日、抗真菌剤入りのシャンプーの使用していただくと、再発防止に繋がります。

バランスのとれた食生活

脂漏性皮膚炎予防にはどんな食事がよいかは明確には証明されていませんが、脂肪の多い食事を避け、ビタミンBを多く含む食材や食物繊維の多い食材を積極的に摂るようにしましょう。アルコールや香辛料の摂りすぎは皮脂分泌を促してしまうので控えるようにしましょう。

規則正しい生活

脂漏性皮膚炎を悪化させる原因として、精神的ストレスや過労、睡眠不足があげられます。睡眠を良くとり、休息時間をしっかり持つことが大切です。

よくある質問

脂漏性皮膚炎はうつりますか?

脂漏性皮膚炎は、感染する病気ではありません。皮膚の発疹は接触しても他の人に移ることはありません。

脂漏性皮膚炎は治りますか?

脂漏性皮膚炎は治療を始めて1~2週間ほどで症状が改善しますが、青年期以降は一度発症すると再発を繰り返し、治るまでに時間がかかることもあります。症状が悪化した場合、ステロイド外用薬を使用して治療を行います。皮脂分泌の多い季節に再発する可能性が高いので、再発した場合には脂漏性皮膚炎を悪化させる原因のマラセチア菌の増殖を防ぐこと、精神的ストレス、過労、睡眠不足をできるだけ避けるように心がけ、気長に治療を続けていくことが大切です。

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