レーザー治療

レーザー光凝固術

光凝固術は、網膜裂孔や糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞症に行うレーザー治療となります。

網膜裂孔、
網膜格子状変性など

網膜裂孔などで網膜に穴が開いている、あるいは網膜剥離の手前の状態で網膜が剥がれかけている場合、光凝固術を行います。光凝固術を行うことで、穴のところを焼き固め、網膜剥離への進行を抑制することが期待されます。

糖尿病網膜症、
網膜静脈閉塞症など

血管の閉塞など、網膜への血流が途絶えた部分にレーザーを照射することで、黄斑部分への血流を確保していきます。また、新生血管と呼ばれるもろい血管の増殖を防ぐことも期待されます。なお、網膜にむくみ(浮腫)が見られる場合にも、光凝固術を行っていきます。

光凝固術を受ける際の
注意事項

光凝固術では、虹彩を広げるために事前に散瞳薬を点眼します。これは安全のために必要な点眼となります。個人差があるものの、効果は4~5時間程度持続するとされています。散瞳薬を点眼すると瞳孔が開くため、普段よりまぶしさ感じ、近くが見えにくくなります。散瞳薬の効果が消えれば違和感は元に戻りますが、散瞳薬を使用した際には自動車、オートバイ、自転車の運転は禁止されています。送迎はご家族などにお願いするようにしてください。

光凝固術の費用
(2022年4月改訂)

  保険種別 自己負担額(税込)
通常 一割負担(片目) 10,020円
三割負担(片目) 30,060円
特殊 一割負担(片目) 15,960円
三割負担(片目) 47,880円

緑内障のレーザー治療

隅角にレーザーを照射し、房水の排出を改善することにより眼圧の上昇を抑制する効果が見込めます。近年では、色素を持つ細胞だけに照射できるSLT(選択的レーザー線維柱帯形成術)が行われるようになってきています。点眼麻酔を行い、10分程度で治療は終了します。

SLT(選択的レーザー線維柱帯形成術)
・隅角光凝固術

SLTとは選択的レーザー線維柱帯形成術(Selective Laser Trabeculoplasty)のことで半波長Nd:YAGレーザーという特殊なレーザーを線維柱帯に照射し、房水の流れを良くして眼圧を下げる治療です。線維柱帯はスポンジのようなメッシュ状の立体構造をしています。線維柱帯が沈着物質によって隙間が狭くなっていると房水の流れが悪くなり、眼圧も高くなります。SLTは線維柱帯の色素細胞色のみを選択して照射します。色素細胞がレーザーにより破壊されると、免疫反応が刺激されマクロファージが活性化します。マクロファージは線維柱帯で房水の排出の抵抗となっている沈着物質を取り込んで分解します。隙間が広くなった線維柱帯は房水の流れがよくなり、眼圧が下がります。日帰りで対応でき、痛みや副作用もほとんどないことが特徴です。照射後に一時的に眼圧の上昇や炎症が起きることがありますが、適切な点眼薬を用いることで症状は改善します。

SLT(選択的レーザー線維柱帯形成術)をお勧めする方

緑内障には点眼薬、レーザー治療、手術などがあります。SLTには副作用がほとんどなく、様々な方にSLTでの治療が可能です。時には初期治療としてこの治療法が選ばれることがあります。

  • 眼圧の高い方
  • 毎日の点眼を忘れがちの方
  • 点眼薬が苦手な方
  • 緑内障の点眼薬に副作用のある方
  • 妊娠・授乳中で点眼薬の使用ができない方
  • 生活リズムなどの関係で点眼を続けることが難しい方

など

SLT(選択的レーザー線維柱帯形成術)の副作用

一時的に眼圧の上昇や虹彩炎を引き起こすこともありますが、点眼薬により改善が期待されます。なお、治療から一定期間経過して効果が薄れてきた場合、再度行うことも可能です。

SLT(選択的レーザー線維柱帯形成術)の費用(2022年4月改訂)

保険種別 自己負担額(税込)
一割負担(片目) 9,730円
三割負担(片目) 29,180円

虹彩光凝固術

虹彩光凝固術では、虹彩付近にレーザーを照射し、房水の排出するスペースを作ります。狭隅角や閉塞隅角緑内障で発作を起こす可能性が認められた場合、虹彩光凝固術を行っていきます。レーザーで開けた穴は自然に塞がってしまうことがありますが、塞がってしまった場合には再度光凝固術を行います。

虹彩光凝固術の費用(2022年4月改訂)

保険種別 自己負担額(税込)
一割負担(片目) 6,690円
三割負担(片目) 20,060円

後発白内障
(白内障手術後の再発)
のレーザー治療

YAGレーザー治療は、病状が安定せず、症状が比較的進行しており視機能に影響のある場合に検討していきます。濁った水晶体嚢を取り除き、眼内に光を取り込める状態を作っていきます。治療の流れとしては、事前検査で瞳孔を広げる散瞳薬を点眼し、レーザー照射していきます。
レーザーによる痛みはなく、外来診療の短時間(5分程度)で治療が可能になります。再発を起こすこともほとんどなく、術後は一時的に視界がぼやけたり濁ったりすることがありますが、一時的な症状のため徐々に改善していきます。一時的に眼圧の上昇が見られることもありますが、しばらくすると正常値に戻っていきます。
なお、稀に網膜剥離などを引き起こすことがありますので、レーザー照射後、1週間をめどに再度ご来院ください。

YAGレーザー後嚢切開術の費用(2022年4月改訂)

保険種別 自己負担額(税込)
一割負担(片目) 1,380円
三割負担(片目) 4,140円

白目の太田母斑

太田母斑の治療は、レーザー機器の進歩に伴い、皮膚上の色素斑に関しては、ほぼ満足のできるところまで治療することが可能になりました。しかし、眼球上の色素斑については、これまで治療することができずそのままの状態となっていました。
当クリニックでは、2006年より、形成外科と眼科の協力により、太田母斑などの眼球上の色素斑の治療を行っており、良好な結果を得ています。日本形成外科学会誌、2011年4月号に、治療方法・結果の概要を報告致しました。
また、太田母斑以外の眼球上(結膜、上強膜、強膜)の色素斑に関しても治療可能なものがあります。詳細は、お問い合わせ下さい。
(ご注意:日本国籍でない患者様の場合、Visa/Passportの提示をお願いします。日本の健康保険をお持ちでない方は、料金が異なります。下記の料金の2倍となります。)

診療、ご相談について

診療、ご相談をご希望される方は、眼科味木医師の外来をご受診下さい。
ご予約(電話:03-6228-5245)の上、ご来院下さい。

対象とする疾患

  • 太田母斑に伴う眼球上の色素斑
  • その他の眼球上(白目)の青色、茶色、黒色の色素斑

治療を行うための
適応条件

合併症等の発生を予防するため、下記を治療の適応条件とさせていただいています。

治療が必要な重篤な眼疾患を有していないこと。

 初回治療の前に、一般眼科検査を施行します。

レーザー治療の結果に影響を及ぼす可能性のある疾患等を有していないこと。

 例えば、リウマチ、SLE、免疫異常,妊娠、授乳中、糖尿病、精神神経疾患、円錐角膜、緑内障など。

レーザー照射中に眼球を動かさないようにすることができること。

 乳幼児の治療はできません。

検査や処置の指示に従っていただけること。

 充分な経過観察を行いたいと考えています。

記録のための写真撮影にご協力いただけること。

 治療効果の判定のために必要となります。

治療方法、治療経過と合併症の可能性についてご理解いただき、ご承諾をいただけること。

治療方法

  • 眼科、緑内障治療用の低エネルギーのQスイッチヤグレーザーを使用します。
  • 緑内障治療では、レーザーを眼内に照射しますが、この色素斑の治療では、同じレーザーを眼球上(結膜・上強膜・強膜)に照射します。
  • このレーザーを用いた緑内障治療は、多くの症例が施術され、安全性と効果が広く認められています。しかし、同じレーザーの眼球上照射は、これまでに多くの症例が行われているわけではありません。
  • 治療は、安全性を最優先にしたプロトコル(手順)にて行います。
  • 一度に照射できる面積や出力に制限があります。

治療経過

  • このレーザーを用いた緑内障治療症例の報告は数多くありますが、眼球上色素斑の治療症例の報告は、当クリニック以外のものはありませんので、治療経過と治療結果の予測には、不確実な部分があります。
  • 治療経過と治療結果には、個人差があります。
  • レーザーの照射により、結膜下出血と照射後の炎症が、約2~4週間生じます。この期間には「白目」が赤くなります。
  • 眼球は、外側から、結膜、上強膜、強膜と呼ばれます。この治療は、結膜から強膜の途中までの色素斑に有効と考えています。強膜深層の色素斑には、レーザーが到達せず、有効ではありません。色素斑の深さにより、色素斑は、残存することがあります。
  • 一度の照射ですべての色素斑が消えるわけではありません。何回かに分けて照射する必要があります。その回数は、あざの種類、面積、濃さや深さにより異なります(一つの部位は、約3~20回の照射で、概ね改善しますが、症例により差があります。)。複数回照射する場合は、通常、3ヵ月間隔にて照射します。照射部位の充分な回復を確認してから、照射を行います。

症例について

症例1

BEFORE(術前)

症例1-術前

AFTER(術後)

症例1-術後

症例2

BEFORE(術前)

症例2-術前

AFTER(術後)

症例2-術後

合併症

安全性を最優先に治療を行いますが、稀に、下記の合併症が起こる可能性があります。(2006年以来発生しておりません)

  1. 炎症性色素沈着
  2. 眼感染症
  3. 眼圧上昇
  4. 強結膜癒着
  5. 視力低下

その他の予期しない合併症が起こる可能性があります。

治療費について

自費扱いの治療となります。
(ご注意:日本国籍でない患者様の場合、Visa/Passportの提示をお願いします。日本の健康保険をお持ちでない方は、料金が異なります。下記の料金の2倍となります。) (中国籍のかたは、エイジェントを必ず通してください:www.hdtec.com.cn)

項目 自己負担額(税込)
初回相談 診断料 11,000円
初回治療時 眼科検査料
(初回実施)
8,800円
レーザー治療費
(投薬料含)
33,000円
(約5 mm×5 mmあたり)
再診・
経過観察のみ
再診料 2,200円
2回目以降
治療時
再診料 2,200円
レーザー治療費
(投薬料含)
33,000円
(約5 mm×5 mmあたり)

※治療費は、予告なく改定する場合があります。

お願い

  • 新しい治療法のため、学会等で、治療結果の公表を予定しています。そのため、記録した写真の公開のご同意をお願いしています。(公表に際して、プライバシーの保護に配慮致します。)
  • ご同意を拒否される場合も治療は可能です。そのことにより、患者様が不利益を被ることはありません。
TOPへ